ATM/悠詩
吐き出して
吐き出して
郵便局の薄暗がりが頬を撫でる
自動ドアをくぐると
体内時計から螺子が一本
逃げていく
逃げていく
減速度に身を任せ
力を抜いて深呼吸
過呼吸になりそうな通帳
休めなかった時計が
無機的に数を唱えてあぷあぷしてる
慰めてくれるひとは
むつかしい顔をして
マダムと書類とを相手に格闘
眉間の皺に修正液塗りたいな
吐き出して
吐き出して
寂しく佇んでいるソファーが招く
体温を忘れそうになっている
たまには相手をしてくれって
背中を 手を 安心を預けると
深く深く包んでくれた
ちょっと前まで賑わっていたフロア
机にス
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