雑草/望月 ゆき
 
草むしりの昼下がり

庭の芝生に紛れる
名も知らぬ青く小さな花
ひとつ。

ぼくは 一瞬の迷いもなく
それを引き抜いた

玄関の前の電柱の下
にも
と、思ったら 
たんぽぽで
ぼくは思いとどまった

そのままで
そのままに


庭に咲いた青い花を
引き抜く権利が
誰にあろうか

生きていく上で
無知であることは
強く

世の中において
広く知られていることは
極めて重要だ

青い花は
その生を
ぼくに依存していた


誰か

草花図鑑を ください



戻る   Point(3)