着色される風景/草野大悟
 
まっ白いシーツが
かぜのように気まぐれに
ふっとためいきをついたとき
けずられたきみの脳は
まわりの景色に色をつける。

くりかえされる
ひかりのみえない毎日を
記憶から消し去り
どんどんどんどん
消し去り
きみは
窓の外にひろがる君自身を
眺めている。

ちいさな雲のむこうで
はじけるように笑っているのは
確かにきみのあのころ
丘の上に浮かんでいる双眸は
たしかにきみの心
そして、ほら
純粋は体操している。

あの日から二年
雲の上に
きみが座った日
青空いっぱいに
咲きほこるひまわりを
見た。
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