泡/月音
かね かね かね の 世の中ですね
いにしえならば
女郎屋にあずけた お菊さんの身の上
借金のかたの かなしみなど
誰も
尋ねやしないから
時々 忘れてしまいそうになる
いつ どこで だれが
そう
そもそも
なにが はじまりだったのか
桶のはしっこが からんと音をたてようと
ちぎったさかむけが 血を流そうと
あまりにも 当たり前で
頓着しなくなる
それは 購買ということ
それは 換金ということ
それは 相場制ということ
でも それは
あい だったりもします
だから
せめて
放り投げた ごえん玉が
通りすがりの 富くじ風情に
あたりますよう
せつに
せつに
願ったりも します
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