【小説】影市場/なかがわひろか
 

 宿主候補の年齢は徹底的に審査官によって調査される。
 もし年齢詐称がばれてしまった場合は、その宿主候補は一生影を持たない人生を送らなければならなくなる。
 影を持たない人生は、それはとてつもなく憂鬱な人生だと言える。

 年齢の審査が終わると、後は自由に影を選ぶことができる。
 話してみて自分と趣味があったりすると一度仮契約ということで一週間ほど共同生活をする。
 そこでさらに相性が合った場合は、そのまま本契約という流れになる。
 料金はその際に発生して、支払いは宿主側8割、影側が2割の負担という計算になっている。
 
 先ほど42歳の宿主候補が市場に入ってきた。
 市場にマイクでそのことが告げられる。
 37歳から47歳エリアの影たちが急に大声を張り上げ出す。

 今夜の市場も大盛況のようだ。


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