水底の死/衿野果歩
 
幻は所詮幻だと
嘲笑う雨のメロディ
耳に痛いリズム
もうなんにも聞きたくない

あなたの居ない部屋を
満たしていく雨の気配
水圧が増して
なんにも聞こえなくなる手前


性器がこすれ合う度に
生まれる熱を
愛だと勘違いしていた


その熱はとっくに奪われて

肺が潰される

戻る   Point(4)