昏海の畔/由希
 
灼熱の時間が過ぎ去り
辺りの温度が急速に奪われてゆく

乾燥した大気

ひび割れ、叫びたがる地盤の上に
降り積もった砂



はためく裂布

朽ちた枝に結ばれて



それは

安眠を赦されぬ者に
与えられた墓標



かつて彼の君を愛した人の首飾り

それさえ果てて
既に久しい



昏き空に堕ちる

赤銅色の月
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