空気/わら
うまく歩けない
川に飛びこもうとする少年が
うらやましかった
夜には冷めたビールが
ふてくされた様子で腹にしみ込んでいった
見栄をはっても
カッコをつけても
汗くさくにしか感じないような
どんよりとした清流の前に
ひとり立っていた
いらだちも
どうでもいいと思えるのは
時の流れのせいだ
ちゃぷちゃぷと足を浸けて
ふり返ると
ゆらゆら火がかすかに燃えていた
てきとうに組んだ石の上に
てきとうに用意した金網をのせて
てきとうに買ってきた肉を焼いて食う
無計画さを笑える計画性は
すでに備わっていて
笑いどころとやらの所在も心得ている
ただ、わからないのは
今ぼくがどこにいるのかと
立ちのぼる煙の行方
ぼくの友だちよ
くだらないぼくと
くだらない話をしてくれて
ありがとう
あてもない記憶のかたすみに
てきとうに書き留める
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