『理科室』/東雲 李葉
、緑の綺麗な液体。
理科室での延長線上。光合成が支える生命と指先にまで伸びた血管。
異なる染色体の結合で今の僕らは作られている。
螺旋を左に緩めると機械の鳥の動きは止まる。
そろそろ油をささなくちゃ。喉の歯車取り出して。
虚しさから神様は自分を証明する僕らを作った。
寂しさから人は孤独を埋める永遠を求めた。
悲劇と呼ぶにはあまりに出来の悪い脚本。
寂しさを埋めた物の淋しさを今度は誰が埋めるのか。
ピンセットで細胞の核をつまみ出し、
何と何を掛け合わせて新しいものを作り出そう。
遥か遠く一億年後、人の消えた後の地球の、
簡素な設備の理科室で神様は作られているかも知れない。
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