月食/見崎 光
 
赤い月

雪洞灯す夜行花

呟きすらも飲み込んで
碧に佇む夢想燈


想いおこすは影法師
恋し焦がれて待ちぼうけ


意味のない涙が
ほろり
何に伝わせたなら
何に乗せたなら
想花は摘まれる時がくる


秋の月

火照りを攫う蒼の刻
夜長を奏でる虫の音は
囃すように刹那を流す


触れたくて
指先の泳ぐ午後
悪戯に掠める温もりと
落とした肩の哀愁


ぼんやり浮かぶ黄金の
想花散りゆく幻か
それとも
余韻の灯籠か


紅の月
白い月
同じ月夜に揺られたら
瞳に灯る相愛花








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