敗北者のうた/松本 卓也
懐かしい微笑みに抱かれる
暖かな夢を見ていた
もはや持病の腰痛が朝を告げる
胸の温もりも聞こえた鼓動も
現実じゃないかとの錯覚
もう少し眠っていたい
出来れば続きを見てみたい
もう抱いていた事さえ忘れていた
少年時代の初恋のような
褪せた映像を眺めたとして
どうしたいのか分らないけど
思えば未練など抱えてなどない
延々と亡くなっていくだけさ
そう信じ込んで 信じ続けて
日々をただ暮らしてたのに
目まぐるしい仕事に追われながら
内臓をまるで考慮しないまま
今日も冷や水で割っただけの焼酎を煽る
そんな生活が随分と板についてきた
そろそろ田舎に帰
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