夏/服部聖一
萩ノ茶屋駅は高架の上にある
連日の猛暑の記録を続ける午後3時
南海特急の銀の窓に太陽の光が反射して、見上げると
空にはほとんど雲がない
パチンコ屋の自動扉がとつぜんに開く
冷やりとした空気が、滝のようにごう音と共に流れ出し、すぐに閉まる
暑すぎる赤茶けたアスファルトに昼寝する人びと
広いリビングのような三角の公園の
テレビには「ボリュームは控えめに」の注意書きが
ここのチャンネル権は、だれが持っているのだろう?
炊き出しの小屋のとなりに
大きなスピーカが置かれ、ステージが組まれ
司会者が、胡椒のようなピリリとした言葉を吐いて
中央には、盆踊りのやぐらが組ま
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