ラッパ小僧/柳瀬
僕はラッパを吹く
夜になると、もう銀色にはげた重いラッパを机の下から持ちだして
家の屋根の上で夜空に向かって元気よく吹く
パーパラパーぱっぱーパパー
たまに、近所のおじさんにすごく怒られる
うるせえよこのきちがい!
と、窓を開けて怒鳴られる
でも僕は気にせずに
屋根の上に直立して
ラッパを吹き続ける
パーパラパーぱっぱーパパー
僕の奏でるラッパは
ゲロを吐くときみたいな音色をしている
涙を流してよだれも垂らして
ゲロを吐くときみたいな音色をしている
パーパラパーぱっぱーパパー
たまに、本当に星が一つも出ていない夜がある
そんな日は少し張り切
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