カルラの列車。/クスリ。
 


橙色荒野に吹く風を
纏う鉄蒼色の軸

時の線路を疾駆する
宵の列車が世界の涯へ
深く静かに進みます


時の左にたなびく湯気と
風を切り裂く幻時の舳先

アナモルフォセスな歪みの時を
涯を目指して走ります


金の地平と黒の淵

虹に微睡むグラデの中を
進む列車は「カルラ」です

荒野とカルラのスパイラル

螺旋の色は空になり
荒野の空は色になる


カルラは宵に語ります


「セカイノハテニ、ムカイマス」
「ソコニハ、ナニモ、アリマセン」
「シダイニ、ソクドヲ、ハヤメマス」


響きは不思議に朗らかで
幻時を進む鉄蒼は
キィィと黒い糸になる

金の地平と鉄の糸

宵の不思議な平行に
僕の影だけ長くなる

橙色荒野に僕と影
アナモルフォセスなカルラに向けて
歩く僕ラに宵風です


「シダイニ、ソクドヲ、ハヤメマス」





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