「 不確かな今 」/椎名
 
蜃気楼の街が消えていく
あんなにはっきりと浮かび上がっているのに
静かに静かに消えていく
まるで霧が晴れるように

夢を見ているのかもしれないと
君が言った
消え入るような小さな声で

あの街に何が見えたんだい?
あるはずのない僕らの未来
それとも
隠し通している君の想い?

消えてしまわないうちに辿りつけたなら
君の見たものを知ることができるだろうか
蜃気楼の街に
降り立つことが可能なら


僕らの前から消えていく街
ないはずの未来なのに
続くことしか考えられないのは
なぜだろう

またいつか突然に
あの水面にあの街がが現れる
そんな気がするから
先のことは考えないでと
君に告げよう

僕らがいるこの街が
蜃気楼でないことを祈って


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