その手を取らないでいる/虹村 凌
 
「で、どうやって癒されたいの?」
「んー、冷房効かせ過ぎた部屋で添い寝」
「じゃあ別にアタシじゃなくてもよくない?」
「いや、君が良いのだけど。」
「どうして?」
「好きだから」
「それがどう関係あるの?」
「幸せじゃん」
「どうして?」
「だって好きな女と添い寝って幸せじゃん」
「説明になってない」
「どうして?」
「だって説明になってないもん」
「どこが?」
「全部。具体的に説明して。」
「僕は精神的に疲れていて、癒されたい。
 僕の求める癒しは、冷房を〜添い寝であって、
 その添い寝の相手として、大好きな君を選びたい。

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