嘘じゃないかもしれないけど、/阿片孫郎
 
満月の夜


僕は夜空を見上げなくても満月を知ります。
月が満ちるとき、女のコたちの心は猫の背中の毛のように、
逆だつのです。
意味もなく胸がキュンと締めつけられる想い。
足許がゆるゆるとして立っていられなくなるような。
明日の朝まで独りでいることに、耐えられなく、
不安に駆られて、
しょうがないよ、女のコなんだもん。(いや違うよ、満月なんだよ)

「電話してゴメンね…」
 どうしたの? 久しぶりじゃない。
「どうしてるかなと、思ってさ」
 気にしてくれてたんだ。
「あ、たまたまだよ」
 たまたま…かぁ。
「そう、たまたま、なの。」
 元気なの?
「元気だよ
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