つばさ みどり ?/木立 悟
 

左目の下にひとつはばたく


髪からあふれ ふたたび朝の
青の手となり さよならを振り
流れても流れても色になり
言葉を迷い 言葉に残る


昼をくぐらず午後になり
山を馳せる曇は銀
沈む星を聴くしずく
左目の下を飛び去ってゆく


こぼれる 消える まばゆさは
皆ひとつの同じ色
うすめすぎた絵の具にまじり
つながりとめぐりを描いてゆく


遠い雨をゆく遠い傘
しずくがしずくに生まれ出る音
花と水と言葉の輪
蛾の片羽に重なってゆく













戻る   Point(10)