こいうた/佐々宝砂
 
がってる
それもわかってる
だからだけどだから
わたしはあなたのものにならない
苦し紛れのジョーク
ぬるくなったコーク
愛するだけならかんたんなこと
優しくするのもかんたんなこと
泣いたり甘えたりするのはもっともっとかんたんなこと
だけどだからだけど
必要なものはいつだって手に入らない
聞き飽きた20年前のロック
しょぼくれたあなたのコック
わたしはきわめて意地悪だから
さよならを爪先で蹴飛ばして立ち上がる

***

ひとつの星が
わたしの膝に落ちるときのために
(そのときはまだ来ないけれど)
庭の薔薇を育てておこう
白い薔薇を
あっさりと白い
一重の野薔薇を
ひとすじの風が
わたしの頬をかすめるときのために
(そのときはまだ来ないけれど)
窓を開けておこう
夜空はぼんやりと花曇り
花なら桜とひとはいうけれど
はらり ひそり
一重の薔薇は静かにちる







しりとりの詩スレより

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