書く/ヨルノテガム
 









彼が去りゆく

彼とは雲のことだ

君は歌う

君とは自然の音のことだ

僕は昨日から5度目の靴ひもを結び直す

僕とは見つめる目だ

彼女はいない

彼女とは思いがけないことの総称だ



僕たちはたくさんの哀しさを持ち合わせている
それは「哀しさ」と表現するのに
何か物足りなさを感じもするが
色々なことを思うに
やはり「哀しさ」以外の言葉では
修飾しづらい空中感なのである

朝起きて御飯を食べて「哀しさ」である
都合のいい コ・ト・バ



次の彼がいる

君の音が彼女のように耳にくる

僕の目は右靴のひものほどけただらしなさをまた見とめる

彼女を好きだ

僕たちは小っぽけなモノとして
まだまだウジャウジャと周りにあるものの
記録を残しつづけたいようだ
話好きな小人のように

小人にとって
ある「哀しさ」も些細なピースでしかないな












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