やっと鼻が利いてきたら/たけ いたけ
 
電光が一線走り
斜めに水溜りの上に視線が泳ぐ
手繰り寄せる繊毛は
見えたかい
水溜りの上に染み付いた獣の臭いで
やっと鼻が利いてきた

透明の折鶴を壊し
透明の結晶を壊し
拾った金槌で
結晶の折鶴がパラパラと砕けた
ぶっ壊した!
真夏はどうやって終わるのか

布団は干し終えたかい
俺のは俺の臭いでいっぱいだ

胡乱の海で泳ぐ
サバを捌く
食堂街は
食べるのに必死な彼らに
食べさせるので必死であればいいが
そうじゃない
金槌は円を描いて唸らせておけ

地面に這いつくばってキスをしながら
俺はじっと谷間を見ながら
せっせと手を這わせる瞬間を探りながら
俺はじっと終電を待ちながら
飲み干される準備をしながら
俺は札束の勘定をしながら



ドブから臭いが流れ着いて
やっと鼻が利いてきたら

出番なんだ



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