ラニーニャ/松本 卓也
今朝 家を出た瞬間から
眩しい光が肌を刺す
目を細めて見上げても
太陽は視界に入らない
誰かの笑い声に耳を傾け
同じように笑えているか
柄にもなく考えたりしている
信号で立ち止まる交差点
視線を遠くに放てば
見覚えのある後姿が映り
追いかけたい衝動に駆られ
自分自身への言い訳を用意して
昨夜見た夢で叫んだ孤独さえ
誤魔化し続けるのだろうか
シャコタンの車が能天気に通り過ぎる
大音量のラブソングを周囲に撒き散らし
何故だか恥ずかしさが押し寄せて
反射する眩さに目を背けるフリ
もしかしたら今この瞬間
僕がただ生きているフリを
懸命にこなしてい
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