死に至る。/黒子 恭
 
 
 
月光も揺らるや海の真ん中で無き夢となり朝日を待つか
 
 
一人では死にきれぬ故か入り来た部屋の夜虫をまずは殺して
 
 
寂しくも悲しくもないよただ、ただ暗闇がずんと来るだけ
 
 
三階の窓から覗くあすはるとにいつか吸い込まれる気がする
 
 
何も無き、何も無き手かと見つめては溜め息も出ず握る剃刀
 
 
樹木も冷える暗き森の奥底で一人でしやるかくれんぼです
 
 
誰彼もまごうことなき来るものなので今この瞬間に死にたい
 
 
 
 
 
 

戻る   Point(7)