追悼/たにがわR
 
 散骨

はらはらと
ちりゆく骨のかけらが
潮騒にくるまれて白波に落つ
よどむ青、解けていく白

満ちてくる月の海
素足が冷たさに触れて
あヽなんと夜の海は
こんなにも音が無いのか、と

海から離反する凪が私を襲い
大地の呼吸音が耳に木霊する
あふれていく私の人間性

君は本当に生きていたのだろうか
私はいまだに
信じられずにいる

 長雨

降り止まぬ雨
と、大気を包む冷気
ふうせんのようにしぼむ人たち
秋の訪問に腰の右側の骨がキシキシと鳴る

骨の痛みが生きている痛さと知り
逢い交わり、そして争い
忘れかけていた君の温度
左手が、まだ
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