赤光/石田 圭太
 
 DIVA




 響きのないところに唄は産まれ
  伝えようとしている。

 幾つかはこぼれ
  すでに無くなったのだとして、


 ひとつひとつ、
  朝日に撫でられている喉元の

 澄んでいくように。
  そんな雨で終わりになるなら




   血生臭い光が

   薄くかさぶたの空を剥がす

   降り止まないものに天国を

   見る。寂しい心臓をもう、

   打ち鳴らさなくてもいいと




   あげる

   この蒼い、幾万の筋を、今

   まじわるだろうか、身体に

   そうやって挿し込むほ
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