許さない/悠詩
あいつの後ろを自転車で駆ける
傀儡(くぐつ)の糸はまだ切れていない
高校生になってようやく
おさらばできると思ってたのに
ぴたりと重なる通学路
ぴたりと重なる通学時間
慢性劣性アルカリ性の
猛毒が胸を冒し続ける
後ろを走る女子学生に
そんな風が届くわけはなく
こちらに向けた
蔑みの目は
あいつにとって
ほんの些細な
日常であり
訴えられて
開き直った
あの時だって
俺が創った
マジックミラーに
気づくことなく
無意識のうちに
ぶち破っては
この心臓を
引き摺り出した
俺はまさしく
屠殺の餌食
形而上的
存在意義など
認められな
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