bird。/クスリ。
 

夜の前に刻まれる四角の頂点。
刻まれ、跳ね躍る幻の慟哭。

逆光に飛ぶ秋の影が七つ。


僕は目を瞑り、宵を疾駆する幻車に乗る。


痴呆めく児戯に似た空想の痛みで構築される夜の四角へ。

擬夜の隅で喘ぐ微かな律動が漣に瞼を叩く。叩けども、未だ不可視の幻鳥の痛覚、に、密やかな凝縮を始めた夜の四角へ。

凝縮された滴に濡れた躯に沁みてゆく擬夜の幾何学が、ふつふつ、と、唇から零れる。(それ、は、幻の列車を動かす虚構機械の駆動、と、)
鳥の痛夢は閉じていて小さく、夜を埋める極微にすら満たない。(不具の遺伝子を、燃料、に)

架空の矛盾が迷走する痛覚神経の末端を捕獲していた。

静か、で、在る事を希求する躯は、在りもしない無を紡ごうとし、無、に、拡大する虚空に伸びてゆく二重螺旋の銀糸を掴もうとする。

その刹那、だ。
カタンコトン、と、僕は夜に到着する。

既に閉じられている、画集。
既に閉じていてる、擬夜。

能動受動の差違に、僕はいつでも立ち竦む。


響き残るのは、宵の、未来だ。



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