bird。/クスリ。
橙色荒野に吹く風を/纏う鉄蒼色の軸/宵の時間を世界の涯へ/進む列車があるのです。
地平の橙色が揺れ墜ちる。
墜ちる百億回目の繰り返しの狭間、僕は祖父の遺した部屋の隅でアップライトのピアノの蓋を机にして、自分の過去の悪行たる落書き混じりのセヴェリーニの画集をハリハリと捲っていた。
世界の変遷を意識しパセイスムの否定をキャンパスに叩いた前衛画家の1915年が幼児のオプティミスムと溶けている、いずれも過ぎた時間軸のコンポジションを捲る。
僕は宵に橙を積算する時間を吸い込んで画から立ちのぼる擬夜を、橙色に染まる夜の前だけセヴェリーニの画から立ちのぼる響きを、待つのだ。
それは
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