夕立ちのなかで/風音
 
ふたり向き合って立ちつくした
夕立の中

ごめんね
サヨナラをいうのが
遅かったね

キミはハンドバックから
夏の名残りのキャンディーを取り出す
なかなか紙が剥がれない
そう言って泣き出すキミは

ほんとうは
もっと言いたいことがあったはずなのに

びしょぬれで
泣いてるキミと
泣きたいボク

こんなに好きだけど
息もできないくらい抱きしめたいけど

ボクはきっと
キミを好きになりすぎたんだ

雨が降り注いで
ボクとキミの
穢さや哀しさや
そんなもの
削ぎ落としてくれればいい

夕立がいつまでも途切れぬよう
キミがいつか笑顔を取り戻せるよう

雨の中で
ボクはそっと祈っていたんだ
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