夜の軋み ★/atsuchan69
 

艶やかな花、彼処の花へ

最新のテクノロジーがもたらした
瞬時に流れ去る世界の
消毒液に浸された昼と夜
鮮やかなブルーに灯る
電光の文字と符号に
あまねく溺れてゆく声たち
――或いは、

 水に映ったナルシサスの恋

終わらない物語の原型をなぞって
反自然の、難解なドグマを妄信し
可能なかぎり理不尽に敷かれた
罪に塗れたモラルの軌条を
人々は今日もただ闇雲に走るだけだ

 (見馴れた駅
 渇いた円環の内側で

覚えているのは、
指の蜜と棘の痛み。//
既に無人のホームへ降り立ったとき、
新しいメールを一件削除した。

きっと明日も刳りかえし、
逢瀬を刳りかえし

それでも一切をかなぐり捨て
ふたり逃げる勇気もなく
さても狂おしい
巡りあうことのない未来の
唇から 唇へ


震える、声を発して‥‥




 

※この詩は、PULL.さんの「 おちんちん電車。 」からインスパイアーされて書きました。


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