テレポートの感覚/奈智
静かなままの
冷たい身体が寂しいと鳴いた
お気に入りのシーツ
このままひとりで汚したくはない
記憶が飛び散るそのまえに
きみに、して欲しいことがあるの
ひろげた手のひらに
指先に少しだけ
ありもしないものを絶対だと
言えるあなたになりたい
心臓のおと
いのちのおと
同じ点に重なって
ひとつになればいい
もうこのまま眠ってしまえたら
重い声に埋もれてもう目覚めない
優しさはどこから来るの
生み出した影に
それ以外はあるかも知れないと
あなたが、いま
思い出したとき
言えばよかったことはあり過ぎて
でも結局、言わないでいることにする
名前を呼んで
それから息がとまって
そう、
この瞬間
戻る 編 削 Point(1)