立つ女に/
草野大悟
たとえば
紫陽花のころ
ぼくは
かかえきれない想いを抱いて
佇んでいる
ふりつづく
やさしい雨は
すべての景色を溶かし
なおも
ぼくの扉をたたく
願わくば 雨よ
ウテルスに降れ
街角に立つ
女にふれ
台所に立つ
女にふれ
そして雨よ
百万人の男を
洗い流せ
百万枚の皿を
洗い流せ
あらって
あらって
彼女らの
真っ白な夢をよべ
ふりしきる
雨の中に
立ち尽くす
海豚がいる
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