スクイグル交錯点(こうさてん)*コンクリートリゾート/Rin K
 




  「コンクリート・リゾート」


最後に僕がここに立った日
それはきっと、セピアンブルーの日
変わったものといえば
角のコンビニエンスストアの名前くらいで
もしかしたらもっと他にあるのかも知れないけれど
少しも思い出せやしない、堀川通りの交差点

僕らの日常は
いつだってここから半径100メートル
けれどもその中には
目まぐるしい不思議があった

郵便配達のお兄さんは雨の日だけ親切で
百合の花のようなお姉さんは一人で映画館に入ってゆく
晴れた空は楽しげにキラキラしているのに
すれ違ったおじいさんの目には涙が浮かんでいて
交通整理のおじさんの笑
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