水辺のタトゥー/恋月 ぴの
 
駅ナカのカフェで一休み
こんな時は甘いもの欲しかったりして
ストレス解消だからと自分に言い訳

隣の席にはおんなのひとがふたり
何やら話し込んでいる

意味深そうな話
そして遠い世界の匂いのする話
隙の無いおしゃれと
よく手入れのされた指先と

エステにでも行っているのかな

毎晩お酒を飲んで
おとこのひとにひとときの夢と優越感を与えて

わたしにはできそうもないよな
誰かが言っていた
頭の回転良くないと務まらないんだって

小学校とか通っているときに書かされた将来の夢
彼女達はなんて書いていたのだろう

おとこのひと達の好奇心のなかを
ネオンテトラのように泳いで
ふりまく笑顔で値踏みするおとこのひとの懐具合

彼女達を否定する訳でもないし
軽蔑する訳でもなくて

人生の裏の裏まで知り尽くした
そのこころに映るのは
わたし達には決して見ることのできない

生きることの本質と夢の在り方




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