夜間飛行/銀猫
微かにまるみを帯びた水平線から
紺、と翡翠色は曖昧に溶け合い
蛍光色のブイを揺らしながら
海風がしろい道を無数に拓いている
目の前に置かれたグラスの透明も
水晶の粒と汗をかき
夕闇のうすむらさきから
陸風に変わる瞬間を待っている
いま見える、
青という青は
空に吸い込まれ
瞬きも許してくれない
夏を繰り返すたび
海、とわたしは近づき
いつか潮も満ちるだろう
沖でヨットの帆が流れる
波音が海岸通りを飲み込んでゆく
夜が、
また来る
夜光虫が
青白いゆめの糸を曳いて
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