ゴッホ『刈入れする人』について/ケンディ
 
この絵の中心はどこか?
絵の面積の大半を占める黄金色の畑だろう。
生きているように色が塗りたくられている。
しかしながら、この蠢いているかのような小麦畑の
力に気づけば、
そのあと自然と気づくことは、
山も、空も、太陽も、農夫も、
実は蠢いているということだ。

燃えているような、萌えているような。
そういった小麦は農夫に対抗している
ようでもあり(ゴッホは農夫が小麦と
戦っていると見た)、
農夫を愛し抱擁しようとしているようでもある。

小さき農夫はただひたすら小麦を
刈り取るのだが、彼はこの命の波に
つつみ込まれてしまっている。

命の蠢き
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