あちい/リーフレイン
 
「きゃああ」よりも「ぎゃああ」がぴったりくる土曜日の昼下がり 、外気温は35度をこえ、道は渋滞  熱い空気は苛々と音をたてて地上へ押し寄せられてくる。 こんがりと焼け焦げた人々は、黒い顔をさらしたまま互いの焼き目を批評しあった。  よく知られていることだが、一杯目のビールの泡は、飲む人の頭のねじが溶けてできる。ビアホールに座り、ビールのジョッキを前にするとあたしたちの頭のねじはポンっと音をたてて跳びあがり、 それぞれのジョッキの中へダイビングする。ねじは真っ白な泡をつくりだし、そのきめ細やかな舌触りを楽しむのである。 これもよく知られていることだが、酒場の中の空中には、ねじが抜けてしまった穴から流
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