みどり ひびき ?/木立 悟
 



窓の外から落ちた緑が
床に白く焼きついて言う
おまえはここから
進んではいけない


線に阻まれ
家をさまよい
見たことのない部屋に着き
水の流れと粒を聴く


舟がひとつ
近づいてくる
耳のそばの
産毛に似ている


髪をかきわけ
ひたいを見出し
空白をくちびるに
わかちあう


部屋をわたり 波は去る
線も声も消えている
悲しみは悲しみを通らずに
ある日何も残さずにゆく


窓と光と目のはざまには
それぞれ異なる緑が立ち
誰のものかわからない
双つの鼓動を伝えくる













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