帰れない夜/快晴
 
るガスに時折口元を押さえながら

かつて通い慣れた街も様変わりして
行き着けだった店のいくつかは消えた
適当に焼き鳥屋を見付けて入り
焼酎をロックでチビチビとやっていると
いつの間にか終電の時間が迫り
とりあえず会計を済ませて外に出る

10年前の私は一体何を見付けたのか
結局、行き先も帰る場所も
自分ではまだ決められないということだったのか
多摩川を越えたあたりで私の体力は尽き
裸の足と自転車を引きずって
河川敷に自転車と共に体を横たえた
明け始めた空の向こうには何も見えず

君から「今どこにいるの?」とメールが届き
「もうすぐ帰るよ」と返信をする
アパートのある駅までの切符を買うと
酔っ払い達の並ぶ列の最後部に付く
しかし私はそれに乗り込むことが出来ず
ライトの消え始めたホームを後にする

あてもなく人通りの無い線路沿いに歩き
出来たばかりの靴擦れを気にしながら
未だ何処にも帰る場所が無いことを知る
ポケットの中で携帯が鳴り
「まだ起きて待ってるよ」とメールが届く

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