宗教/黒川排除 (oldsoup)
 
 家の近くには宗教団体があって、夜な夜な奇声を発している。それが時々部屋に侵入してくる。白い毛布だけを残して、宗教のかたまりはすぐ凝固する。わたしがそれを路上に放置すると、がさがさと数人の宗教が集まってくる。かたまりは器用に等分される。手提げのかごに各々がそれを詰めて、森の方へ歩いていく。それで、毛布を広げて追いかけると彼らは裸足で逃げていく。
 わたしは禁じる。わたしは宗教を禁じて、買い物に出かける。手提げのかごは慎重に選ぶ。そしてそれをかぶって出かける。人々はそろいもそろって虚無僧のようだ。編み目越しに交わされる挨拶。おはよう。おはよう。そして店頭に到着すると、わたしは店先で逆立ちをする。かごが地面に付く。そしてわたしは売られ、宗教が買われていく。
 通貨のようにまわされて、わたしは夜な夜な奇声を発する。
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