Dead or Smoke 〜逃亡者〜/虹村 凌
 
どれだけ走り回ったのか、最早わからない。
喉の奥から、ヒューヒューと変な音がする。
脇腹が悲鳴を上げ、自然と足が止まる。
「ゼェゼェ…まいたか…?」
後ろを振り返って見るが、人の追ってくる気配は無い。
「やれやれ…」
何処まで走ってきたのかわからないが、
どうやら何かの工場らしい。
胸ポケットから煙草を取り出す。
何回目かで、やっと火がついたジッポに、
そろそろ限界を感じる。
深く吸い込んで、大きく吐き出す。

ビービービー!
『喫煙者発見!喫煙者発見!』

突然に警報機が鳴り出した。
クソッ、こんな工場にも警報機が…!
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