夏、終わり/暗闇れもん
 
赤く染まった空

蝉の抜け殻を踏みしめながら

少し離れて歩いた

くしゃっという音

ウルサイくらいの蝉の声

手の届く範囲にあるのに

勇気が無い俺

片手に持った雑草を振り回しながら

少し離れて歩いた夏

もう少しなのに

勇気が無い俺

あと少しで君の手に届くのに

つなぐ側の手は

名もない雑草を握っていた

近くて遠い距離

影のように

広がっていく



風が冷たく感じた



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