朝顔市/
暗闇れもん
山手線に揺られていく
扉が開き
紺と白の艶やかな浴衣のひとが現れる
今時珍しい黒檀の髪がゆるやかに
姿を今に染めることなく
過ぎていく朝顔市のポスターを何回か見送った後
降りてホームを歩く姿に視線が奪われた
青い朝顔に寄り添うように
優しい目をして
そのひとが帰る場所を夢想する
蒸し暑い夏の夜道を下駄の音だけを響かせて
そこだけは澄んだ空気で
同じ目をした優しいひとと猫の待つ
平屋の一軒屋の門をくぐる
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