ノート(白花)/木立 悟
 


誰もいない街を囲み
小さな白い花が咲き
低く宙に浮かんでいる



花粉と麟粉が
片目の奥に混じりあい
列を去ったものたちを見せる



薄く薄く固まった血が
蒼のなかから現れては
羽になり羽になり飛び発ってゆく



歌いながら片目を去る粉
ほどかれるように廻り
かがやいてゆく
宙の花をつなぎ
誰もいない色になり
ほどかれるように歌い
かがやいてゆく




[グループ]
戻る   Point(3)