星の雨/由希
 
立ち込める熱気が鳴りを潜め
夜の帳が下りる頃

大人たちの目をぬすんで抜け出した僕らは

毎日のように星空を眺めた



きれいだね、と君は言う

まるでシュガーキャンディを散らしたみたいだ



科学者の僕は

あれはガスの塊なんだけどな、と思いながら

君のはしゃいだ横顔を見ていたくて
黙っている



あの頃

光が降るような星空の下
幼い僕らは最高に幸せだった





時は過ぎて

背が伸び、声も変わり
いつの間にか大人になった、僕



けれど、夜空に零れる光を見るたび
願わずにはいられない



どうか、もう一度

君に会わせてください、と
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