「ラブアンドピース」に対する異議申し立て/佐々宝砂
、非常にどうでもいい事実だ。アオザイの揺らめきがどうこうという話は、リアルにもリアリティにもあまり関わりがない。日本人の大半は、アオザイに流行があるということに関心を持たない。アオザイのデザイン確立にフランスが関わったということも知らない。だとしたら、アオザイと日本人の関わりをリアリスティックに描くために必要な言葉は、「アオザイの揺らめきはあのときのまま」という、事実とは異なる言葉になるのだ。小田実を「おだみのる」と読むという話にも「アオザイの揺らめきはあのときのまま」と似たようなリアリティがある。私も高校生のときは小田実を「おだみのる」と読んでいた。私もアホな女の一人だということを、認めたくはな
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