火に包まれ/蘆琴
 
詩を燃やせば匂ふ
けぶりが目蓋に絡む
もつと火を強くしやう
指を少しずつ浮かせて

栄華の裏にはきつと
肥溜めに埋ずもれる人々
糞を食ふ人のあればこそ
虹の上で其れを遊ばせて

妖精が明日を殺した
パラシニコの涙を拾つて
集めた貝殻はゆんゆん飛んだ
鱈は淋しく通りをよぎる

骨を舐めるをんなに
肉をすすめる少年よ
血を飲ませてやらう
俺の後ろには虚空がある


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