削られた一部/チアーヌ
ふと
街で
耳にした音楽から
わたしの声がして
びっくりしてしまった
あの日あなたと過ごした半日で
わたしのどこかが変化したよ
あの日の前と後で
わたしはずいぶん違うみたい
西葛西のあなたの家の二階は
とても不思議な空間でした
屋根があったような気がしない
壁はあるのに
天井は抜けていて
はじめて
雑誌に名前が載っていたのを見たときには
びっくりしたけど
それからもう10年以上
経ったね
あなたは今どこにいるのかな
どんな風景を見ているのかな
あなたのサンプリングしたわたしの声は
楽器のひとつになったみたい
もし会っても話すことなんかないけど
なんだかわたしの一部を抜き取られたみたいで
いまだにちょっと
わたしは削れている
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