擬態のコビト/あおば
 

逃げ出してしまった
茂作が1人
遊んでいるうちに
草が伸びてみっともないままに茂っているうちに
21世紀を迎え
擬態のコビトがやって来て
茂平の代わりに文句を言った
家の前に草が伸びている
少しは綺麗にしたらどうなのだと
茂平の妻は亡くなって
幼い茂作が代わりする
擬態のコビトと喧嘩する
おまえが綺麗にしなかったから
草が生えてみっともない状態になっている
少しは綺麗にしたらどうなのだと
擬態のコビトが詰め寄った
幼い茂作はことばに詰まり
のこのこと草刈り鎌を手にして表に行って
擬態のコビトが家の番をすると
家の中は綺麗になって
誰がどこから来ても
文句の付け所の無いようになって
草刈りの下手な
幼い茂作は住み処を失い
草刈り鎌を手にしてどこかに行った

擬態のコビトが擬態して
扉のようになっている
鍵の掛かった擬態のコビト
擬態のコビトは
擬態を付いて
悪態忘れて固まった

擬態の擬態は擬態でござる
茂作の声は聞こえない
空飛ぶ絨毯巻き取った
擬態のコビトが歩き出す
070806

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