アルクトゥルスの頃/たりぽん(大理 奔)
こんな夜は
星なんかいらない
いろんな自分が壊れて
風の吹き抜ける地下通路を
歩くのはひとりだけど
橋の向こうをめざしていく
笑いながら
どこで夢見たのだったか、きみを
月だけが欠けたり、満ちたりして
どんな名だったろう
泣いていた、港で別れた
ひとは
自分の影を追うように
踏みつけながらおりる
背中に汽笛の音
とどけ
また嵐が来て
どうしても雨に濡れなければ
ならない時
もっとも透明なものを
ながせ
明け方まで瞬く様をみていた
オレンジ色の
( 生きるということ どこまでも
何度でも
生きるということ )
あの人が笑うと
そんな夢まで、嘘になる
( ああ、明日思い出す! )
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